「そこまで真の馬鹿とは思わなかった。
血の儀式は一対一の儀式。
命の共有とまで言われている儀式だぞ。
二人のヴァンパイアが絡んでいる血の儀式なんて聞いたことがない」


「聞いたことがないのは、誰もやらなかったからなだけだろ」


「例え命が救えたとしても、言葉も話せない、意思の疎通もできない、そんな醜い化け物に成り果てるだろう」


「そんなことは絶対ない」


「なぜ言い切れる?」


「俺の血を与えたからだ」


「……ふっ馬鹿な男だ。
美しいまま死なせてあげればよかったものを。

俺は結構気に入っていたんだ、あの女を。
あの女には不思議な魅力がある。魔力のような強烈なものだ。

男を虜にする生来の業を持っている。
あのまま成長すれば、もっと面白いことになっただろうが、俺を拒んだからこんなことになったのだ。

お前と似て、馬鹿な女だ」


「なっ! そんな理由で茜を殺そうとしたのか!?」