廃工場の中には、いつものように沢山の魔物たちでひしめき合っていた。


しかし今日の彼らは、いつものように自由気ままな行動をとっていない。


皆、キルリアを崇めるように整列し、キルリアの言葉を待っている。


キルリアは出口から一番遠い所に座っていた。


前方にキルリア、真ん中にコクーンたち、後方に檻に入れられた人間達がいる。


檻に入れられた人間達の数は十数名。


ぶるぶると震えている者や、もう諦めたかのように虚空を見つめる者。


座り込み身を寄せ合っている者、一人でぶつぶつ呟いている者など年齢も性別も様々だった。


その中で女性たちに守られるように眠っている小さな子供がいた。


謙太だ。


謙太は、幸運なことに連れ去られてからまだ一度も目を覚ましていなかった。


熟睡しているわけではなく気を失っているのだが、起きてしまった時、大人でも精神を病みそうな光景を見せないように、女性たちは子供を囲み、自らの身体を壁のようにさせていた。