「わっ!」


余りに強い風だったので、砂埃が目に入らないように片腕で顔を隠した。


それでも目を瞑らずに目を細めて男を見ると、男の周りに小さな竜巻のようなものができてそれが足元から頭に向かって伸びていき、男の体を飲み込んだ。



「おい!大丈夫か!?」と声をかけようと時、小さな竜巻に飲まれた男の姿はもうそこにはいなかった。



忽然と消えた、バド・ツェリスと名乗る不思議な男……。



怜央は目の前で起きた、説明できない不可思議な出来事に、しばらく呆然と立ちすくんでいた――――