生徒会室は見事なほど荒れ果てていた。


「そういえばお前は以前も、この女を助けるために無謀に立ち向かったな。
そんなにこの女が好きか。
報われない想いと分かっていても」


「……っ! 黙れっ!」


「コクーンとして蘇ったとしても、結局はコクーン。
ヴァンパイアには敵うはずもない。
自分の力のなさを嘆いて、愛する女の元へ逝け」


キルリアがさっと手を振り上げると、赤黒いマグマの塊が大蛇のように日向に向かっていった。


……逃げられないっ!


マグマは日向の身体を貫通するべく、勢いを増して突進していった。


日向は目の前に迫った、炎よりも熱く力強いマグマに為すすべもなく立ち竦んだ。


……終わった。すまん、レオ!


日向はぎゅっと目を瞑り、神経を尖らせた。


目を瞑る瞬間、勝ち誇ったようなキルリアの顔が瞼に焼きついた。