「それもよかろう。
人間ごときが俺の女になろうとも、すぐに飽きて殺していたかもしれない」


キルリアは逃げられないように茜の体をしっかり掴むと、妖艶な声色で言った。


「最後に、得も言われぬ快感を与えてやろう。
その快感に震えながら死ぬがいい」


そしてキルリアはカッと口を開くと、鋭い二本の歯を茜の細い首筋に突き刺した。


「キャーーーーーー!!」


茜の断末魔が部屋中に響き渡った。


血を勢いよく吸われ、体が痙攣(けいれん)した。


キルリアの言う通り、今まで経験したこともない快感が襲いかかった。


脳髄が痺れ、全身が痙攣し、自分が自分ではなくなったような感覚だった。


しかし決して痛くはない。


ドクドクと脈打ち、脳みそが飛び出るような快感だった。