生徒会室に入ると、假屋崎は内側から鍵を閉めた。


ガチャリと閉まる音に、ハッと我に返る。


(あれ……私……)


假屋崎は我に返った茜を見ても、顔色を変えずおもむろにカーテンを閉めた。


暗くなった部屋に、電気をつけようとスイッチを探すと「電気は付けるな」と假屋崎に止められた。


いつもの優しい口調がなくなり、命令口調の威圧的な態度に、茜は不安になった。


「秀平……君?」


不安気な瞳で見上げた茜に対して、假屋崎は不気味な笑みを浮かべる。


その微笑みが、ゾクっとするほど美しくて茜は余計不安になった。


「いつになったら秀平と呼んでくれるのかな?」


「あ……ごめんなさい。
呼びやすくて、つい……」


「まあいいさ。
假屋崎秀平なんて仮の名前で呼ばれた所で嬉しくもなんともない」


「仮の名前?」


茜の問いに、假屋崎はにこりと笑うと一歩近付いた。


体がくっつきそうなくらい近くて、見上げないと假屋崎の顔が見れない。