この男と話していると頭がおかしくなりそうだった。


力だとかわけの分からない非科学的な話が大嫌いなのだ。


「とにかくっ!

俺が頼んだわけじゃないから、もう俺の前に現れないでくれ!」


「申し訳ございませんが、それはお約束できません。


ですが、怜央様がそうお望みなら、やんごとなき出来事が起こるまでは姿を消していましょう」


「ああ、そうしてくれ。やんごとなき事なんて起こるはずがないからな」


「恐らく近いうちにお目にかかれる日が来るでしょう。

それではまた。失礼致します」


「は!? 近いうちにって……」


怜央が言い終わらない内に、強い風が舞い上がり、枯葉や砂埃が怜央と男との間に巻き上がった。