人間と違ってほとんど食べなくても生きていけるヴァンパイアにとって、食は快感に近い。


食用にもなるし、慰み用にもなる人間は、ヴァンパイアにとってとても魅力的なのだ。


そして茜の匂いは、食欲と性欲をかりたたせる強烈な濃い匂いを放っていた。


赤銀が、茜を匂いだけで生徒会入りさせた理由が今では嫌というほど分かった。


それにレオは、茜に対して特別な感情を抱いているので、余計に歯止めが効かない。


好きという感情が溢れ出し、欲望に任せて茜をめちゃくちゃにしかねない恐怖を感じていた。


茜を守りたいという一途で真っ直ぐな想いが、茜を遠ざける冷たい態度に現れているのだが、そんなことは知るよしもない茜は、自分には向けられない優しい笑顔を女子たちに振りまいているレオを見て、自然と大きなため息が零れるのであった。