目の前で魔物たちが喧嘩しようが、殺し合いを始めようが、彼は一切興味がなさそうだった。


邪魔になれば殺せばいい。


小さな喧嘩が勃発し、魔物が投げた小石が少年の右足に当たった時、少年は顔を動かすことなく小石が飛んできた方向にいた魔物たちを一瞬にして焼き払った。


小競り合いをしていた者、傍観者、たまたま横切った者などが、たった一つの小さな石によって犠牲になった。


しかし、一瞬しんと静まり返ったが、すぐにいつもの日常へと戻ったのだが。


「キルリア様、本日不審な狼を見かけたと報告が入っております」


ガリガリで頭とお腹が妙に膨れ上がっている薄汚れた小男が、恭しく礼をして言った。


キルリアと呼ばれた假屋崎は、小男が述べた報告に片眉をほんの数ミリだけ上げた。