「仕方ないだろ。
むしろ何の策も用意しないで、一人で乗り込むってどういうことだよ。
無謀すぎるだろ」


「……檻の中に謙太がおったんや」


「謙太? 誰だそいつ」


「俺の義理の弟や。
あいつら、あんな小さい子供まで手出しとった」


日向は心底悔しそうに言った。


日向の様子がおかしかったのには、そういうわけがあったらしい。


「日向の気持ちは分かる。
でもお願いだから無茶はしないでくれ。

あいつの体から魔力は一切感じなかったから、もしかしたら魔力はないのかもしれないと思っていたが、ロッカーを奴に向けて倒したら軽々と横に倒して避けられた。

その時感じた魔力は想像以上だった」