「送ってくれてありがとう」


「おう。じゃあな」


「バイバイ……」


茜は小さく手を振って、玄関のドアを閉めた。


レオの顔が頭から離れない。


胸がぎゅっと締め付けられて、苦しい。


「優しいのか、冷たいのか分からないよ」


茜はドアに背をもたれかけながら、小さく呟いた。


ため息を吐くと、さっき飲んだココアの匂いが残っていることに気が付いた。


あんなに甘かったのに、口の中にはほろ苦い風味だけが残っていた。