次の日、茜は軽い足取りで学校へと向かった。


母親にも「どうしたの? ずいぶんご機嫌じゃない」と言われたほどだ。


教室に入ると、前から二番目の窓際の席に座っているレオに真っ先に目がいった。


レオの姿を見るだけで、顔が火照り、胸がドキドキする。


「お、おはよう! 昨日はありがとう」


茜に話しかけられたレオは、眠たそうな瞳で茜を見上げると「ああ」とぶっきら棒に返事をした。


レオの素っ気ない様子に寂しさを覚えながらも、くじけず無理して明るく振舞った。


「今朝もね、あの犬がついて来たの。校門の前まで! 
なつかれちゃったみたい」


「ふ~ん」


余りにも興味なさそうな返答に、今度こそ茜の心は折れた。


しょんぼりしながら席に着き、レオに話しかけることは止めた。


すると、女の子たちがレオの周りに集まり、色々話しかけ始め、それに対してレオは面倒くさがらずちゃんと答えている様子を見て、更に落ち込んだ。


私が質問した時は、こんな風に答えてくれなかった。


茜はどんどん落ち込んでいく一方だった。