「…でも、やっぱりあたしが入るような所じゃなかったのかなぁ」


茜が再び暗い顔をしたので、怜央はまた心配になった。


「なんでそんなこと思うんだよ」


「だってさ、なんか場違いな気がして。

皆お金持ちだし、あたしなんかより数倍頭いいし。良かったのかなぁ、あたしなんかが入っちゃって」


「確かに武蔵野学園は都内でも有数のエリート学校だし、財政界でも名をはせた親を持つ、お坊ちゃんお嬢ちゃんばっかりだとは聞いた。


でも、親の地位とか財産とかそんなこと気にしてたら、肩書で人を判断する奴らと一緒になっちまうぞ?


気にしない奴らだっているはずだし、そういう人と友達になればいいんじゃねぇの?」


怜央の言葉に、茜は足を止め、目を見開かせてた。


「すごい……怜央ちゃん」


「は?」



「そうだよね!その通りだよ!

そんなこと気にしない人だっているし、ただ自己紹介程度に両親の年収とか肩書を聞いただけかもしれないし! 住む世界が違うからって落ち込むことないよね!」


「いや、親の年収聞く奴はどうかと思うぞ?」