「おおきに!」


日向は満面の笑みを浮かべた。


「なんだ、それ」


「ええから、ええから。早よ行くぞ」


日向はレオを急かし、レオは水面を見つめた。


わけの分からないものに構っている暇はない。


一刻も早く人間界へ行きたかった。


手遅れとなる前に……。


レオと日向は大きく息を吸い込んで、水槽の中へダイブした。


二人の身体が深い水の中に沈んでいく。


二人の身体が見えなくなるまで、ヴラドとラシードは見つめ続けた。