「お前が毎日飲んでいた、あの赤い飲み物……」


「ああ、あれか。あれがどうしたんだ?」


「あれは真央の血を薄めたものだ。
お前のために真央は毎日、自分の血でジュースを作っていた」


レオの目は驚きで大きく見開いた。


「そのことを……、真央の気持ちを忘れるな」


ヴラドの瞳は悲しげに揺れた。


レオはヴラドの目が見れなくなって、俯いたまま「…分かった」と小さく告げた。


「日向、行くぞ!」


レオは気持ちを入れ替えるように大きな声で日向を呼んだ。


「おうよ! 
あっそうだ、ラシード! 
頼んどったアレ……」


「そうそう。
運がいいな、さっき出来上がったところだ」


ラシードは胸元から鈴のように小さな丸いものを取り出すと、日向に向けて投げた。


大きく弧を描いたそれは、日向の手に吸い込まれるようにキャッチされた。