「俺が行く。
俺なら人間界のことを知っているし、下手なまねはしない」


「ダメだ。
お前は何も分かってない。
ヴァンパイアに覚醒したては、人間の血が欲しくなる。
それでなくてもヴァンパイアは人間の血が飲みたくて仕方ないんだ。
側にいれば理性を抑えられなくる。

お前はまだまだ未熟だ。
人間界で、人間と一緒に暮らすのは危険すぎる。
今のお前が行ったら人間を襲ってしまうかもしれない。

それにこいつはお前が手におえるような相手じゃない」


ヴラドが冷たく言い放つ。


「俺は絶対人間を襲わない。
そんなやわな精神力じゃないし、俺が敵わないなんてどうして分かるんだ。假屋崎の力は未知数なんだろ」


「未知数だからだ。
そんな危険な相手と戦わすわけにはいかない。
それに俺の読みが正しければあいつは……」


ヴラドの言葉を遮るように、日向が出てきた。


「俺もレオと一緒に人間界へ行ったる! 
レオが無茶しそうになったり、人間を襲いそうになったりしたら俺は止めてやるやさかい」


「日向……」


思わぬ援護を受けて、レオは日向に感謝した。


日向の言葉に、それまで黙っていたラシードも口を開いた。