「一体どんな力を使っているのか分からないが、この一か月の間に人間をさらい魔界に流しているのは、この男で間違いがないと思う。
赤銀という捨て駒を使い、レオや俺を魔界へと帰らせ、邪魔者がいなくなったところで本来の目的を行う。
こいつは分かりやすかった赤銀と違い頭が切れるぞ」


ヴラドは忌々しげに鏡に映る假屋崎を見つめながら言った。


「ええ。
それにバドでさえ彼の能力を感じることができなかった。
どのくらいの力を秘めているのか探りようがありません」


「ここまで巧妙に力を隠せる奴だ。
赤銀より弱いとは考えられん」


まさか、人間を殺し魔界に送り込んでいる人物が假屋崎だなんて信じられずレオと日向は青ざめた。


しかも赤銀が捨て駒とは。


「どうします? 
このまま黙って見ているわけにもいきません。
誰を人間界に送り込みますか? 
生半可な力では返り討ちにあうでしょう。
ここはやはりバドに行ってもらって……」


「ダメだ。
バドは血の儀式を行ったことにより力を消耗している。
今行かせるのは危険だ」