「戻るか?」


「……戻ろう」


「いいんか?
王宮に戻りたくないんちゃうか」


「仕方ないだろ。今は非常事態だ」


「よっしゃ! 
そうと決まればもう一走りするか!」


日向はニカっと満面の笑みを浮かべると、シュルシュルシュルと縮み、狼の姿になった。


レオは日向の背中に乗る。


「悪いな」


「レオに気使われるとは思わんかったわ! 
なんかもうけた気分や!」


「うるさい! 行くぞ!」


「はいはい、人使いが荒いこって。
さすが王子様やな」


「王子言うな! 犬のくせに!」


「犬やない!狼やっ!」


そうして二人は再び王宮に向かうべく深遠な森の中に消えていった。