レオは少し考えてから、それもいいかもしれないと思った。


狼の背中に乗って森を抜ける。


風を切る感覚は、さぞ気持ちがいいだろう。


レオは日向の背中に馬乗りになった。


日向は背中に乗ったレオを満足そうに横目で見ると、森の奥に視線を送った。


「狼の背中に乗るなんて初めてだ」


「落ちるなよ」


「俺を誰だと思ってるんだ。
馬だろうが狼だろうが乗りこなしてやるさ」


「言いよったな。飛ばずで。
あんまり強く毛ひっぱるなよ、痛いから」


そう言うと日向は飛ぶように駆け出していった。


最初は上体を屈んで、日向の首を抱きかかえるようにして飛ばされないように必死で食らい付いていたレオだったが、だんだんコツが分かってきたのか上体を起こし、流れていく風景を楽しめるようになっていた。


「気持ちいいな。こんなに早く走れたら最高だろうな」


「おう。自由ってかんじやろ」


「自由……」


レオは零した言葉の重みを噛みしめていた。


自分が今、一番求めているのは自由かもしれない……。