確かにヴラドはいい男だった。


人間になり急速に歳をとったとはいえ、見た目はまだ三十歳前後に見える(本当は人間の歳で換算すると327歳)。


前よりも更に色気が増し、歩くだけで女性を失神させてしまいそうなフェロモンだ。


それに真央も十六歳の息子を持つ母親には到底見えなかった。


歳は今年で三十三なのだが、どう見えても二十歳そこそこくらいにしか見えない。


肌も艶々だし、白いワンピースを違和感なく着こなしている。


レオと並ぶと姉か恋人同士にさえも見えるから驚きだ。


「そうそう! 
今ね、アップルパイが焼きあがったところなの。怜央も食べて。
バドのように上手には作れなかったけど」


真央は恥ずかしそうにバドを横目で見ると、バドはにこやかにほほ笑んだ。


「わたくしも頂いてよろしいでしょうか」


「もちろん! さっ座って座って」


真央は嬉しそうにレオとバドをテーブルに誘導した。


バドはヴラドにお辞儀をしてからテーブルにつくと、真央は急いでキッチンに戻りお皿に準備をした。


そんな中、レオはテーブルの前で一人立っていた。


口を固く結び、立ちすくんでいるレオをヴラドは訝しげな目線を送った。