ヴァンパイア王子~覚醒のblood~

「あ~~~、王らしく振舞うのは疲れる」


急に声のトーンも変わり、くだけた様子になったラシードを見て、レオは目を丸めた。


「おかえりなさい、レオ様」


ラシードはとても優しい目付きでレオを見詰め微笑んだ。


レオ様と言われて、レオは困惑した。


「あ、あの……」


「レオ様とお会いするのはいつぶりでしょう。
ああ、そうでした。レオ様がまだ産まれたての赤ん坊の時でしたね。
わたしはレオ様を抱いたこともあるのですよ」


「そう……なんですか」


「いやだなぁ。かしこまらないでくださいよ。
もう誰もいないんだから」


「でも、王様でしょう?」


「今はね。でもじきにあなたが王になる」


「はい? でもさっき……」


「わたしが子供を産めばその子に王位継承権を与える話ですか?
あれは臣下たちがいた手前ね。わたしは子供を産むつもりはないんですよ」


「え!?」


「男が好きというわけではありませんよ。
しかし結婚にまったく興味がない。
でも臣下たちはそれを許しません。まあ当たり前ですよね。
王家の血筋を引く者は今やわたしとレオ様だけだ。

王家の血筋を引く者を片っ端から暗殺してしまいましたからね、わたしが」