新入生代表挨拶を終えると、茜の不安は見事に的中し、怜央はたった数分間でこの学園のアイドルとなった。


しかし、茜の予想に反したこともあった。


それは上級生のみならず女教師までもが怜央のファンになってしまったことだった。


なかでも40を越えた独身の女教師が熱い眼差しで、壇上を降りる怜央を見つめていた。


体育館が甘い雰囲気に包まれる中、校長先生の挨拶で空気は一変した。


最初は校長先生が挨拶していることすら耳に入らず、怜央が与えた甘美な刺激に酔っていた生徒達だったが、最近起きた学校内での女子生徒の変死について語ったからである。



女子生徒の死亡は表向きには突然死とされているが、死亡原因が出血死であるにも関わらず血はどこからも出ておらず、外傷は首に残った二本の釘で刺されたような傷痕のみという変わった死に方だった。



女子生徒の死について校長先生が語ると、女子生徒の友達だったのだろうか、上級生の列からはすすり泣く声が聞こえてきた。