屹然として颯爽と檀上を歩く怜央の後ろ姿を見て、茜は不安と同時に甘いため息が漏れた。


(怜央ちゃん、どんどん男らしくなっていく……)


怜央の体から溢れ出るフェロモンは、老若男女が不思議と引き寄せられる魅力を放っていた。


蠱惑(こわく)的な眼差しは、瞳を吸い寄せられ魂を抜かれるようだった。


怜央が壇上の真ん中に立ち、一礼をして新入生代表挨拶を述べると、体育館は不思議な空気に包まれた。


怜央の声が体育館中に広がり、その澄んだ声が鼓膜を震わす度、身体の芯の部分が熱くなって甘美な気持ちになるのだった。


それは男も例外ではなかった。


ただ、女のように酔いしれるのではなく、ただただ不思議な感覚に戸惑いを覚えるのだった。