バタンと人が倒れる音がした。


音の方向を振り向くと、レオが地面に倒れていた。


「怜央ちゃん!」


慌てて駆け寄ろうとすると、何者かに肩を掴まれた。


恐怖で叫び声さえも失い、肩を掴んだ人物を見上げた。


執事のような恰好をした美青年だった。


「あなたは?」


「わたくしの名前はバド・ツェリス。高級執事でございます」


「執事?」


「レオ様は心配いりません。
力を使いすぎて眠ってしまわれたのでしょう。
後はわたくしが全て処理致します。

わたくしはその為に来たのですから」


「あなたも……人間じゃないの?」


「ええ、わたくしはヴァンパイア。
ヴァンパイアはヴァンパイアの世界に帰ります」


「怜央ちゃんはどうなるの?」


「大丈夫です。わたくしに全てお任せを」


「怜央ちゃんを連れていくの?」


バドは答えなかった。