「……なんだ?」


赤銀がただならぬ気配に気付き、周囲に目を配らせた。


レオは下を向いたまま動かない。


茜の悲鳴のような泣き声だけが響いていた。


風が、目を覚ます。


冷たい冷気が赤銀の頬を撫でた。


酷く、嫌な予感がした。


突然学校中の窓ガラスが音を立てて粉々に割れた。


地震のように地面が揺れていた。


風が水面の波紋のようにレオを始点にして広がっていく。


レオが顔を上げた。


瞳には悲しみが広がっていた。