レオは、力が漲(みなぎ)っていくのを感じていた。


こんな子供じみた蝋など、今やレオの足枷にすらならない。


レオが拳に力を入れると、白い蝋にヒビが入り、手足を動かすと簡単に外れた。


レオは十字架の磔の台から降りると、赤銀を睨み付けた。


その顔はぞっとするほど美しく、大人びた表情だった。


「赤銀……。お前は俺を怒らせたことを後悔するだろう」


「馬鹿な。覚醒したからといって、人間の血を吸い強大な力を得た私に敵うはずがない」


「それはどうかな」


レオは力の使い方が分かっていた。


それは本能だった。


レオが手を伸ばせば大きな竜巻が起こった。


そしてその竜巻は、まっすぐに赤銀に向かっていった。