「……お前は、狂ってる」


「狂ってる? 
愚かな人間どもに脳みそを汚染されたか? 
魔界の王子も人間に汚染されたとなっては終わりだなぁ」


怜央は両手足を動かした。びくりともしない。


この蝋をなんとかしない限り、赤銀に手も足も出ない。


悔しさで顔が歪んだ。


「さて、そろそろ時間だ。
生贄と聞いて、この女が犠牲になると思ったか?
この女は確かに極上の血の持ち主だが、人間など殺した所で何の儀式にもならない。

生贄はお前だよ。神無月怜央。
いや、こう呼んだ方がいいかな。

魔界の王子、レオ」


怜央の心臓がドクンと脈打った。


名前に反応するように、血が湧きたっていくのを感じた。