両手両足を白い蝋で固められ、十字架に磔にされている怜央はギリっと歯を鳴らした。


「この禁断の魔術を遂行するためには、なんとしてでもヴァンパイアに目覚めてもらう必要があった。
都合のいいことに、この学園の生徒会には良質な血を持つ人間がたくさん所属していた。血の良し悪しは、力にも影響する。

彼らの血のおかげで俺は以前よりも強大な力を持つことができた。

魔界では人間の血を飲むことは禁じられている。
人間の血は人間界でいうドーピングのようなもので、過剰に摂取すると体と精神に影響をきたすからだ。

だが、一度味わうと癖になるな。
こんなに心地よく強大な力を得る血を禁止するなんて馬鹿げている」


恍惚の表情を浮かべる赤銀は、傍から見ても明らかに危険な状態だった。


顔は青ざめ頬がこけていた。


「それにしても、人間界は実に面白い。
人間を殺しただけであんなに騒ぐとは。だんだん面白くなって、殺人現場も華やかにしてあげたよ。
気に入ったかい?」


赤銀はくつくつと喉を鳴らして笑った。


自己顕示欲が強い男だと思った。


そんな理由であんな風に殺された7人の生徒の無念さを思うと心が痛んだ。