怜央は昨日、全く緊張なんてすることなく、むしろいつもより深く眠れたくらいだったが、あえて否定はしないでおいた。


それよりも、さっき見た男の顔が脳裏に焼き付いて離れず、妙な胸騒ぎがしていた。



(消えるなんてバカげている。そんなわけない。少し目が霞んでいただけだ)


怜央はそう自分に言い聞かせて、学校への道のりを再び歩き始めた。



この日が怜央にとって、新たな人生の幕開けの序章になるとも知らずに……。