茜はひどく驚いた顔で怜央を見た。


怜央は唇を固く閉じ、赤銀を睨み付けていた。


「俺が魔界の王子だとしても、それがお前に何の関係があるんだ。
なんであんなに人を沢山殺した!」


「今までの説明は序章に過ぎない。そう、それこそが俺がお前に近付いた理由。
お前を無理やり覚醒させようとした理由を教えよう」


冷たい風が横に流れた。静かな沈黙の中、校舎に備え付けられている時計の秒針の音だけが響いていた。


「俺が魔界の王子に近付いた理由。
それは、魔界に古くから伝わる禁断の魔術を行うためだ。

八人の人間の血を吸い、九人目に魔界の王家の血を引く者の血を吸う。
さすれば強大な力を持ち、不死の体になれるのだ。

この九という数字が大事で、九は古代から不吉な数字として恐れられており、九つの魂を奪うということは不死を得るとされている。

ヴラド・ツェペシュは人間になってしまったし、現王のラシード王には警備が厳重すぎて近付くことすらできない。

そして目を付けたのが、人間界で暮らしているという魔界の王子だ」