「本来、人間とヴァンパイアの間に子供はできない。
種族が違うのだからな。

しかし真に愛し合った者同士にだけ子供ができる。
しかし子供を産めば女は死ぬ。
ヴァンパイアの強大な力に耐えることができないからだ」


「そんな……」


茜が瞳に涙を浮かべて呟いた。赤銀は気にすることなく続ける。


「そんな時、ヴラド・ツェペシュの父親が死に、奴は王になった。
そして王の権力を使い、人間とヴァンパイアが愛し合うことを禁じる呪いを解きに行ったんだ」


「どうやって?」


怜央が聞いた。


「詳しくは俺も分からない。
ただ命がけで死界の世界に行き、呪いを解いた代償にヴァンパイアの能力を失い人間となった。
そして無事子供を産んだシャオンと共に人間界で穏やかに暮らしているという」


「それが、俺の母さんと親父……なのか?」


「そうだ。お前はヴラドがヴァンパイアだった時にできた子供。
魔王ヴラドの遺伝子はお前に引き継がれた。

よってお前こそ正当な王家の血を継ぐ魔界の王子だ」