ショコラ~恋なんてあり得ない~


焦って後ろを振り向くと、三メートルほど先で立ち止まっちゃってる。

やばい。
酔いに任せて色々言っちゃったけど、傷つけちゃった?


「そ、宗司さん?」


呼んでも返事はない。

あたしはさっきとは反対方向、つまり、宗司さんの方に向かって数歩近付いた。

彼がどんな顔であたしを見るのか、考えるとちょっと怖い。
さすがにもう、あんなにこやかな顔を見せてくれる事は無い?


「ごめんね。酔っぱらって言いすぎちゃった」


思わず謝罪の言葉まで飛び出した。

ああー。なんでこんなこと言っちゃうの。
さっき言ったのは本音なのに。

でも。でも。
宗司さんに落ち込まれてるのも何だかイヤなんだもん。