ガブガブとビールを飲み干す。
ああもう三杯目も終わっちゃったわよ。

宗司さんはにっこり笑って、空いたグラスを指差す。


「もう一杯飲む?」

「当たり前!」

「すいませーん」


そこはさすが先生志望と言うべきか。
よく通る声で店員さんを呼んでくれる。

「ビールでいい?」

「うん。あ、あとお漬物もください」


つられて注文するあたし。

宗司さんのカクテルはまだ空かないのか。
そんなもんさっさと飲んじゃえばいいのに。

でも彼は手にグラスを持っては口を付けずに戻すっていう動作を何度もしながら、ポツポツと怒られた話についての詳細を教えてくれる。

そんなにへにへ笑ってるから、あんなおっさんに怒られるのよ。
もっと自分のポリシーを訴えていけばいいじゃないの。
イライラがそっちに飛び火する。


「宗司さんは穏やか過ぎ」

「ええ?」

「『俺は彼らの為にやったんです!』とか力説すればいいじゃないの」

「だって。塾長の言うことも一理あるだろ?」

「でも宗司さんの意見も悪くないわ?」