そしていつものような言い合いに発展すると、何故か安心したようにマサが入ってくる。
「俺、黙られてるよりはこの空気の方が楽」
「あっそ」
「マサ! お前もこんな身持ちの悪い女を嫁にもらっちゃダメだぞ」
「誰が身持ち悪いのよ。あたしなんて固くて化石になっちゃうほどよ!」
なんてったって、付き合って半年でやっと、しかも人生で初めてよ。
後ろ指差される覚えはないわ。
「まあいい。それについては後で宗司の方を苛めることにする。
それより詩子、冷蔵庫から生クリームとってくれ」
「ハイハイ」
そう言われて冷蔵庫を開けると、そこには丸いケーキが置いてあった。
白いクリームに美術品のように飾られた色とりどりのフルーツ。
そして、花型の可愛いチョコプレートには丁寧に文字が書かれている。
【HappyBirthDay UTAKO】



