ショコラ~恋なんてあり得ない~


宗司さんとの恋愛は、一つ一つが凄くゆっくりな気がするけど、あたしのペースには合ってるみたい。
多分あたしって、元々あんまりベタベタするのは好きじゃないんだろう。


「詩子さん」

「なに?」

「呼んだだけ。ねぇ、詩子さん」

「何なのよ!」


だったら何度も呼ぶなよ。

睨みつけてやったのに、宗司さんはニコニコ顔のままだ。
ああもう、怒るのも馬鹿らしくなっちゃう。


「呼んだらすぐ返事が来るっていいよねぇ。誰かが隣にいるってこんなにいいんだなぁ」

「……あ、そ」


しかも。
なんでこんな人の心を躍らせるようなことを言うんだ、この人は。

もう、イヤんなる。
のほほんで優柔不断な癖に。
恥ずかしくって顔も見れないじゃないの。