だってずるくない?
あたしがどんな思いで待ってると思ってるの。
なのにうっかりで言っちゃってしかも逃げるなんて。
絶対に許さないんだから!
「マサごめん。しばらく店番して」
「は? え? おい!」
「ちょっとだけ出てくるから」
エプロンを投げつけて、走り出す。
店の前の通りを、どっちに行ったんだ?
きょろきょろ見回して、右側の遠くに宗司さんらしき人影を見る。
嫌だ、あっちも走ってるわ。
追いつくかな。
追いつけないかも。
でも、諦めたりなんかしない。
背中が見えてる限りは、いくらでも努力できる。
負けるもんか。
絶対に、追いついてみせるんだから!



