時々、お客さんの会計をしたり、テーブルを拭きに行ったりしながらも、宗司さんの食べる気配を窺う。
嬉しいな。宗司さんも気づいてくれた。
小さな努力も、こうして時々でも認めてくれる人がいるとすごく嬉しい。
「ありがとうございました」
数組のお客さんが帰って行って、店内は宗司さんと他の一組のお客さんだけ。
あっちはさっき注文の品を出したばかりだから、しばらくは大丈夫だろう。
気を緩めて、宗司さんの前に戻る。
「どうでしたか?」
茶目っ気たっぷりに笑ってみると、彼も同じように笑ってくれる。
「おいしかった。それに見た目も前よりずっと綺麗になってた。
ちゃんと努力してるんだよね。
「そうよ。当たり前でしょ」
偉そうに言ってみると、宗司さんはますます笑みを深める。
「あはは。俺、詩子さんのそういうところが好きだなぁ……あ!」



