親父はまたあたしの方に視線を戻して、一つ溜息をついた。
「わかった。俺が接客しておいてやるから、お前が作れ」
そう言って、店の方へ出て行ってしまった。
大丈夫かな。親父が宗二さんに絡まなきゃ良いんだけど。
そんな心配もあるけど、やらなきゃいけないのはフラッペづくりだ。
冷蔵庫で冷やしてあるグラスに、削った氷を盛る。
そして丁寧に、盛りつけていく。
「詩子、上手になったじゃん」
マサに褒められて、ちょっと嬉しい。
あの後、やっぱり悔しいから家で時々練習していた。
マサまでは無理でも、せめて店にだしても恥ずかしくないくらいのものを作れるようになりたかったから。
「よし出来た。どうよ、マサ」
「いいじゃん。詩子にしちゃ上出来」
「あたしにしちゃ、は余計よ」
軽く足をふんづけて、それを持っていく。
「いってぇなー」
マサの呟きなんか聞こえないもーん。



