ショコラ~恋なんてあり得ない~



「駅でコンビニ入って待ってるわよ」

「でも危ないよ」

「危なくない。アイス食べたいの。先に行って選んでる」

「じゃあ、先にコンビニまで送ってく」


お互いに譲り合わず、結局そんなところで妥協したあたしたち。

コンビニまで送ってもらって、走って行く宗司さんの後姿を眺めた。

そして十分もしないうちに走りながら戻ってくる宗司さんを見て、心が疼く。



好き。

もう悔しいくらい。
嫌になるくらい、宗司さんが好きだ。


「アイス決めた?」

「決めたわ。これ。宗司さんはこれでしょ?」

「当たり。凄いね、詩子さん」


前と同じアイスを嬉しそうに頬張って、一緒に帰り途を歩く。



「試験、受からなかったら張り倒すから」

「怖いな。詩子さん強そうだもんな」

「そうよ。ついでにフラッペも十杯食べさせてやる。もちろん宗司さんが払うのよ」

「あはは。分かった。頑張るよ」


冗談まぎれに言ってるけど。
あたしは本気で、切実に願ってる。


お願い神様。

宗司さんを、合格させてください。