「詩子さん、俺、頑張るからね」
そんな声聞いたら。
やっぱり待つことが自分にできる一番の事なのかなって思ってしまった。
本当は離れたくないんだけど。
今告ったところで、彼を困らせてしまうだけ。
彼の決めた事を応援するのも愛情なのかもなんて、柄にもない事を思いついてしまったから。
名残惜しいけど、気持ちを押さえつけて彼から離れる。
「……帰る。ごめんね、宗司さん。お仕事の邪魔して」
「全然? 俺もう日報書いたら終わりってとこだったから。すぐ終わるから送ってく。
ちょっと一緒に来て」
「でも」
「また変な男に声かけられたら困るから」
でも、あなたの職場は塾よ。
分かってんのかな。
先生が職場に女の子連れ込んで生徒にどう思われるかとか。



