ショコラ~恋なんてあり得ない~


赤い顔を隠したくて、宗司さんの胸に顔を押しつけた。


「……怖かった」


これも嘘じゃない。
確かに勝てるとは思ってたけど、怖かった。


「うん。良かった無事で」


頭を撫でてくれる彼の手が、そのまま下がって背中を撫でてくれる。

大丈夫だよって言われてるみたいで、とても安心して。
あたしは思わず、ギュっとしがみついてしまった。


「う、詩子さん」


どもらないで。
離さないで。

あたし、宗司さんが好きだよ。

もう言ってしまおうかと思った。
我慢してるのなんて性に合わないもん。


だけど。

彼はアワアワしながらも、あたしの背中をさすりながら、小さな声で言った。