「ちょっと、和美ちゃん?」
目の前で掌をひらひらさせると、ようやく正気に返ったようにハッとする。
「ごめんなさい! びっくりしました。詩子さんでもそんな事あるんだーって思って」
いや、普通の人こんなことないわよ?
告白したいのを止められるって普通あり得ないでしょ。
「詩子さんなら、すぐ誰かに取られちゃいそうですもん。その彼余裕あるんですね」
「余裕……」
余裕があるのか?
いや、そこまで頭が回っているとは思えないわ。
単に自分のこだわりなだけでしょう。
そういう変なところだけは親父に似てるわね。



