「あ、詩子さーん」
和美ちゃんは、昼間店に来た時と同じ格好で、時刻表の傍で手を振っている。
「ごめん、待った?」
「いいえ。今来たんです」
「じゃあ行こう? 和美ちゃんどんな店にいつも行くの?」
「大学の仲間とは居酒屋ばっかりです。社会人の方がいくには騒がしいかも……」
はにかみながら言う。
「や、あたしは居酒屋の方が好きよ? 大声で話したってそんなに怒られないもの。
じゃあ行きましょう。近くに安い店あんのよ!」
前に宗司さんと行った居酒屋へ入る。
まだ開店間際だから人気はなく、入ると一気に従業員の眼差しが注がれた。



