仕事を終えて店を出る時、マサは何度もこっちを見た。


「なによ?」

「あんまり和美に飲ますなよ?」

「そんなの知らないわよ。飲みたい気分だったら飲むでしょ。飲みたいような気分にさせるアンタが悪いんじゃないの」

「ああもう、ああ言えばこう言う!」


怒りだすマサ。
うるさいわね。早く逃げよう。


「飲み過ぎたってアンタが迎えに来るんなら平気でしょうが」

「まあそうだけどさ。変な話されたら嫌なんだよ。和美、酔うと口が回るから」

「何よ変な話って」

「いいから。あんまり飲ますな!」

「そう言われると飲ませたくなる」

「頼むから!」


頭まで下げられて。
一体何を話されたくないのやら。