駆け出してきた宗司さんは、目を細くしてあたしを見る。
胸が疼くのは、あたしがその顔をとても好きだからだ。
「どうしたの、詩子さん」
「は、話があるの」
「話? 何?」
キョトンとして小首を傾げて。
ああもう、空気読んでよ。
赤い顔して目の前に現れた女が言うことなんて大体想像つくでしょう。
「とにかく、通りの真ん中じゃちょっと」
そう言って、彼の袖を引っ張る。
平日の十時台、人気はそんなにない。
だからまあどこでも良いっちゃ良いんだけど。
あたしだって女よ。
告白する場所くらい選びたい。
そうせめて公園くらいには。



