「この店の一番売り上げがコーヒーだって事も。分かってるようで俺は分かっていなかったです。
飲み物だからコーヒーが一番出てるんだと思っていました。
でもこの人の話聞くと、コーヒー目当ての客だって確かに居るんですよね」
マサが宗司さんの方を見てそう言った。
ちょっと困ったように宗司さんはあたしに視線を流す。
何よ。困られてもあたしも困るけど?
そう言えばまだ勘違いしてんのかな。
違うわよ。
あたしが好きなのはマサなんかじゃなくあなたなのよ。
そんな意味を込めて睨んでみると、今度は一瞬身をすくめて俯いた。
あら?
全然伝わってない。
むしろ恐れられた気がする。
「リピーターを呼ぶには、詩子の方が良いと思います」
あたしたちのやり取りなんか無視して、マサが結論を出す。
正直意外だった。
マサは自分の作るものに自信を持っていると思ったから。
仮にあたしのものに褒めるべき点があったとしても、それでも自分のを押せるだけの実力だってあるはずだし。



