ショコラ~恋なんてあり得ない~


「で、君はどう思う?」


親父は少し低めの声で、宗司さんに意見を求める。

宗司さんは我に返ったように空いたグラスを眺め、いつものように考え始める。


「おい?」


あまりの反応のなさに、親父が先に不審がる。


「考えてるのよ。もう少し悩ませてあげて」

「ああ、考えてるのか」


確かに、親父が不思議に思うのも無理ないほど長いわ。
せめて一言声かけてから悩みなさいよ。


「……あの」

「うん」


ちらりとあたしの方を見る宗司さん。

何よ。
同情であたしの方が良いとか言ったら張っ倒すわよ。