ショコラ~恋なんてあり得ない~



「二つの触感を楽しめたら良いかなって思ったのよ。
ほら、かき氷って途中でキーンとなっちゃうじゃん。
少し柔めに固めてあるから、崩してジュレシロップな感じで食べてもいいかなと思うの」


イメージはびっくり箱。
かき氷の中から何が飛び出すか、そう考えたら面白くて。

これも宗司さんの言葉がヒントだったりはするんだけどね。



「もう一つはこれ」


ほぼ同じだけど、これはコーヒーシロップ。
中に入っているゼリーがミルクゼリーになっている。
これも崩して食べるのがお勧めだ。


「なるほど、コーヒーか」

「うちのお客の目当てはコーヒーでしょ?」

「いや、ケーキじゃないのか?」

「そう思ってるのは親父だけよ。一番店に出てるのはコーヒーです」

「なるほど」


頷く親父の脇で、宗司さんが無心に食べている。