「あたしが持ってくの?」
何だか顔が引きつる。
「他に誰が行くんだ」
珍しくごもっとも、親父。
「……行ってきます」
仕方なくお盆を持って行く。嫌だなと思うと自然と歩みが遅くなる。
ああでもダメよ。仕事だもん。
「お待たせしました」
子供たちは、目当ての品を目の前に置かれて、小さな歓声を上げる。
ふふ。こういう反応は可愛い。
子供たちのお陰で少し気分が上向きになった。
そして優柔不断男の前に、モリモリにクリームののったウィンナーコーヒーを置く。
さあ、なんというか。
ドン引きするかしら。
「うわぁ、ウンチみてー」
男より先に、少年が口を出す。
「ホントだ、白いウンチ」
「もうーやめてよ。男子。汚いなぁ」
いや、いいぞ、子供たち。
言っちゃって言っちゃって。
密かに子供たちに声援を送っていると、優柔不断なその男は、満面の笑みで語り出した。



