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だけど、そのキスは完全に重なる前に着信音に遮られた。

これは、私のスマホの着信音だ。



「う、わっ。ご、ごめっ」

「や、別に」



気まずくなりながら、ポケットに入っているスマホを取り出す。

発信先は、お母さんみたいだ。

通話ボタンをタップして耳に当てる。



「もしもしお母さ「南おめでとーーーーーっっっ!!!!今日はお祝いよー!!早く帰ってきてねー!!!!」



耳が痛くなるほどの大きな声に、通話を切ってしまった。



「あ」



間違えた、そう思って声が出る。

雄悟くんと目が合って、思わず声を出して二人で笑った。

ムードもへったくれもないなぁ。



「帰るか」

「うん」



でも、私たちにはまだまだ時間がある。

これからゆっくり、関係を進めていけば良い。

手を繋いで、マンションへ歩き出す。